第3回 環境を整える(4)

Posted by deadmanshand on 9月 25th, 2010 — Posted in

(4)
このワーウルフというゲームでは、良いストーリーテラーががんばるだけでは、
ゲームは一定以上おもしろくなることはない。
その要因は2つに大別される。


・ワーウルフの『本能』に関するルールを使えるのはプレイヤーだけである

・ワーウルフのキャラクターに、彼らがいきる3重の世界の情報を処理させることができるのは、プレイヤーだけである

からだ。


独特の世界を持つファンタジーRPGならなんでもそうなんだけど、
このゲームを包む空気はすべて、できごとの『ワーウルフ的な理解』を通して形作られる。
プレイヤーは「ワーウルフ」という種族を演じるからだ。
そして、御存知の通り、ストーリーテリングゲームは、
『その時、何が起こったか』ではなく、
『その時、何を感じたか』が描かれるゲームである。
RPGをプレイするとき、物語の種を受け取り、物語を実らせてかえすことができるのは、
いつだってプレイヤーだけの特権だ。


確かに、ワーウルフには前提となる世界観が多い。
あなたたちは、ワーウルフなので、人間ではありません、といわれてすぐにゲームが出来るわけもない。
でも、実際にはルールブックを読んでいくにつれ、
あなたは、ワーウルフを縛るものは、思想や世界ではなく、
たった1つのゲームルールでしかないということに気づくはずである。
それが、『ガルゥの本能』だ。


一人のガルゥは社会に対して、正面から向きあうこともできるし、背を向けることもできる。
しかし、同時に彼は自身の破壊衝動 ー業怒とよばれるー については、
決して、背を向けることができないのである。

こうしたことを言葉で説明した上で、
あなたの考えるガルゥをやってくれ、という説明は、一見筋が通っているようにみえるけれども、
こうした『開けっぴろげな説明』は多くの場合逆効果である。
ガルゥをプレイしようとするあまり、ガルゥの世界観から逸脱しないように気をつけてしまう、
論理的なゲーマーは、ますます混乱してしまうのである。


その不幸を避ける方法が、ここまで言葉を尽くしてきたように、
ワーウルフに最も詳しいと思われている人が、
『ルール以外のことはなんでもやっていいんだ』っていうことを、
実践することで、周りのハードルを押し下げていく遊び方なのだ。

それが、ワーウルフ:ジ・アポカリプスを成功させるための最初で最後の『方法論』となる。

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