第3回 環境を整える(3)

Posted by deadmanshand on 9月 14th, 2010 — Posted in

(3)
初めてだらけのワーウルフ。
あなたは、ワーウルフが難しすぎるという印象を与えないように、
基本的なラインだけに乗っ取ったシナリオを心がけた。


ガルゥになったばかりの若者たちが、ワーウルフの事件に巻き込まれて、
初めて見る光景に右往左往しながら、ガルゥとしての使命に気づいていく。
どの国の、どんなゲームでも必ずルールブックに乗っている、
導入用のおはなしだ。


だが、ゲームをはじめてすぐに、あなたは奇妙なぶつかり合いを感じることになる。
状況を説明し、プレイヤーに行動を聞くと、次のように返ってくるのである。
いわく、「ガルゥの常識がわからないので、どう行動していいのかわからない」と。
あなたは、それを聞いて逆に安心する。


なぜなら、それは誤解だからだ。
あなたは、誤解を解く言葉を準備していた。
「別に、ガルゥの考え方に正解とかはなくて、
あなたのキャラクターの個人の反応もガルゥとして正しいものだから、
自由にやってください」と。


だが、プレイヤーは納得しない。
「いや、世界観のあるゲームなんだから、ガルゥとしての常識っていうのがあるはずだ。
そこを説明してもらわないと、やりにくいね」
……あなたは喉まででかかった言葉を噛み潰すことになる。
「ガルゥの常識って何だよう?」と。
こうなってしまうと、どんなゲームを展開したってプレイヤーたちの感想は、
いつも同じだ。
「世界観をちゃんと理解しないと難しいシナリオだった」


あなたは戸惑いを隠せない。
「キャラクターもガルゥになったばかりだし、
何も知らなくてもプレイできるハズだったんだけどね」と、
あなたは照れ隠しに言ったけれど、プレイヤーは既にルールブックを指さしながら、
この設定を最初に教えてくれれば……なんて聞こえるようにひとりごちている。
そうして、不思議なわだかまりを残して、人狼たちの休日は費えるのである。


もちろん、これはただのお話だ。
しかし、STがもっともモチベーションが高いものだった場合には、よく起こりうる自体だ。


この悲しいすれ違い、すなわち、
プレイヤーは、ガルゥとしての考え方を知りたがり、
STは、あなたのキャラクターの考えを知りたがるー
双方がそのキャラクターに責任を持たないまま、ゲームが進んでしまうのだ。
この現象を解決しない限り、幸せなアポカリプスはやってこない。


そして、そのためのテクニックが、環境を作ることなのである。
続く

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